NTTドコモがスマートフォン向けに通信速度を高速化すると発表した。

NTTドコモが高速化するのは、同社が2010年12月から他社に先駆けてクロッシーとして提供し、

KDDIとソフトバンクが9月21日から、iPhone5の販売開始に合わせて提供を開始した、

LTE (ロング・ターム・エボリューション 長期間に渡る進化) という、

今後の携帯電話サービスでの中核になると言われる技術。

 

NTTドコモによれば、現在毎秒37.5メガビットのサービスを2014年までに2~3倍の速度に高速化し、

毎秒75メガビットから100メガビット以上に高速化する方針。

NTT東日本が提供する、光回線の速度が毎秒100メガビットだから、

ほぼ光回線の速度に匹敵することになる。

 

しかし、気をつけないといけないのは、携帯電話を提供する無線の技術が、

その使用環境によって大きく変化することである。

使用環境というのは、携帯端末の基地局からの距離の影響が一番大きい。

最高速度が出るのは、携帯電話のサービスをする基地局のごく近くで、

基地局から遠くなる程通信速度は低くなる。

ユーザーが屋内にいるか、または屋内にいるかの違いも大きい。

当然電波の強い屋外の方がサービス環境は良くなる。

また、周りに他のユーザーがいるとその影響で更に通信速度は影響を受ける。

 

更には、LTEでは通信速度を上げるためにMIMO (マルチインプット・マルチアウトプット)、

と呼ばれる、複数のアンテナを使って無線の品質を上げる様な新しい技術を使っている。

この技術も、ユーザーがどのような位置にいるかによって影響を受けやすい。

 

これまで述べたように、LTEでいう毎秒100メガビとというサービスは、

光回線を使ったサービスの様に、常に安定して100メガビット近くのデータ通信が出来るわけではなく、

良い環境で実現できるものという理解が必要。

LTEでの伝送速度の改善は、各事業者の今後の現場での経験による改善を待つところが大きい。

 

LTEで毎秒100メガビットまでは無理としても、

数10メガビットのサービスがそこそこ提供できれば、

動画のストリーミング等もストレスなく出来るだろうから、

その時点での、光回線の無用論が出る可能性がある。

それまでの、携帯各事業者の技術改善の努力が注目される。