今日突然ソフトバンクがイー・アクセスを買収したとの発表があった。
イー・アクセスは株価が15000円位だったので、時価総額520億円程度だった。
そのイー・アクセスをソフトバンクが1800億円で買収した。
一見買収額は高く思えるが、もともとイー・アクセスの株価は安すぎた。
株価の評価方法に、PER(株価収益率:時価総額と純利益の比率)があるが、
イー・アクセスは3~4程度だった。
普通の会社ではPERは10~15だから、このPER3は異常に低かった。
言い換えると、イー・アクセスの株価は儲かっている割りには安かった。
PERが10だったら、時価総額は3倍以上になるから、1500億円でもおかしくなかった。
単純に経営的な面から見た会社の価値から言っても、ソフトバンクの買収額は決して高くない。
携帯通信サービス会社としてのイー・アクセスの価値は、
電波免許の利権と、ユーザー数にある。
イー・アクセスは1.7ギガヘルツ帯域に20メガヘルツの電波免許を持っいる。
更に今年6月に総務省から与えられた、プラチナバンドの700メガヘルツ帯域に、
NTTドコモ、KDDIと共に10メガヘルツの帯域が与えられた。
今回の買収で、この追加の700メガヘルツの扱いがどうなるか今後の議論になろうが、
ソフトバンクとしては当然700メガヘルツ帯域の使用権も含んでの今回の買収と主張するであろう。
日本は携帯通信事業者が使う電波が無料でもらえる珍しい国だ。
米国やヨーロッパでは電波の使用利権がオークション(入札)で与えられている。
その額は数千億円から一兆円近くに成っている。
日本でも、今後の電波の使用権はオークションにするよう検討されている。
今回の700メガヘルツの使用権は無料で与えられた最後のものになろう。
イー・アクセスが持つ400万超のユーザーの価値は、
仮にその獲得費用を、1ユーザー3万円としても1200億円になる。
以上の様に、イー・アクセスの電波の利権とユーザーの価値は、
今回の買収額1800億円で十分お釣りが来るものである。
これから日本の携帯通信事業は、NTTドコモが頭ひとつ抜きん出て、
それをKDDIとソフトバンクが拮抗して追いかけることになる。
この様な3社での競争は、お互いに刺激会える状態になる。
3社が価格面・サービス面でユーザーの為になるサービスを提供するように、
競争しあうのを期待している。